長年にわたり、マニュライフの「アジア・ケア・サーベイ」は、アジア全域の人びとの心身の健康と経済的ウェルビーイングを探り続け、変化するニーズ、価値観、そして志向を明らかにしてきました。最新版である2026年版では、日本を含むアジアの9市場において9,000人以上の成人を対象に調査を実施し、長寿に関してこれまであまり語られてこなかった現実に光を当てています。
日本ではこれまで寿命や健康寿命という概念が重視されてきましたが、平均寿命が延びるにつれて、自立し、自らが望むQOL(生活の質)を保つための資産をどれだけ長く維持できるかという「資産寿命」という発想が重要になってきます。なぜなら、平均寿命が延びるにつれて、高齢期において他者に頼る期間も長期化しているからです。
日本では、高齢者が介護や経済的支援を必要とする期間はそれぞれ最長で9年~10年に及ぶと推計されています。これはアジア平均の13~14年を下回るものの、他者に依存する期間の長期化は、将来の備えに対する考え方に大きな変化をもたらしています。
アジア・ケア・サーベイ2026によると、日本の多くの人びとが従来のレガシー=「相続財産」から離れつつあり、「負担のない自由」、すなわち「健康寿命」だけでなく「資産寿命」をできるだけ延ばし、家族に負担をかけることなく自立した状態であり続けたいという考えを優先するようになっています。
日本の回答者のうち80%にとって、身体的・経済的な自立が長生きする上での最優先事項であり、資産の76%を自らの自立を支えるために配分しています。
自立を志向しているにもかかわらず、日本の回答者の約75%が老後の介護費用を賄えるか不安を感じており、34歳以下でその不安が最も高くなっています。
日本では子どもからの経済的支援を期待している人は現在わずか7%(アジア全体では19%)にとどまっています。これは37%が子どもを持つ予定がなく、増加傾向にある経済的負担を若い世代にかけたくないと考えていることが背景にあります。貯蓄志向は依然として強く、株式、債券、年金など他の資産クラスへの投資は依然としてアジア平均を下回っています。また、将来の経済的な安定と安心を確保するために具体的な行動を何も取っていないと回答した人は28%に上っています。
日本の成人は「引退という幻想」を手放しつつあります。日本の回答者約75%が、65歳以降も何らかの形で働き続けたいと考えています。
予防医療や早期検診の重要性は広く認識されているものの、実際の行動はその意識に追いついていません。日本の成人のうち、継続的な運動習慣を維持しているのはわずか3人に1人にとどまり、16%はセルフケアをまったく実践していないと回答しています。
25歳未満の約半数が、家族の世話や日常の支援に週平均14時間を費やしています。さらに、80%の人がこれにより自立の実現に制約を感じています。また、35%の人が、毎月の給与の最大43%を使って親を経済的に支援しており、そのうち93%が、こうした負担によって自立を実現する能力に影響が出ていると感じています。さらに、25歳未満の若年層の81%が、家族への責任を理由に、自身の医療ケアや治療を遅らせた経験があると回答しています。
※ 「家族の世話・日常の支援」とは、食事の準備、掃除、移動の支援、服薬管理、医療的ケア、心理的な相談支援など身体的・社会的・感情的なニーズを満たすための幅広い支援を指します。
日本の回答者の約半数が、率直でオープンなお金の話し合いは生活の質を向上させると考えており、25歳未満ではその割合は75%に上ります。しかし、実際にそのような会話を行ったことがある人は33%にとどまっています。そして、ファイナンシャルアドバイザーに相談したことがある人はわずか6%にとどまり、これはアジア市場の中で最も低い水準です。一方で、ファイナンシャルアドバイザーに相談したことがある人は、そうでない人に比べて、生活の質が高いと評価する傾向が2倍にのぼります。対話の最大の障壁は、どこから始めればよいか分からないことです。
日本では回答者の63%が、目に見える資産を残すこと以上に、自分自身の身体的・経済的な自立を確保することをより重要視しています。 (アジア平均では82%) 背景にある大きな動機は「家族に負担をかけたくない」という意識で、これは全体の74%にのぼり、54歳以上では86%に達しています。これは、長寿の捉え方や備え方が根本的に変化していることを示しています。
アジアでは回答者の82%が、自身の自立および経済的自由を最も次世代に受け継ぎたいものであると位置付けています。アジア全体では、インドネシアが93%で最も高く、日本は63%と最も低いものの、それでも過半数を大きく上回っています。
【マニュライフ生命 取締役代表執行役社長 兼 CEO ライアン・シャーランドからのコメント】
人生100年時代を迎える日本のアジア・ケア・サーベイの結果は、自立が人生の後半期における最も重要な目標となっていることを明らかな変化として示しています。マニュライフ生命ではこれを長寿化が進むなかで、望む生き方を支えるだけの金融資産をどれだけ長く維持できるか、という「ウェルススパン(資産寿命)」の視点で見ています。お金と人生設計の足並みをそろえていくためには、意欲だけでは不十分であり、明確なプランと、その第一歩を踏み出すための自信が必要です。私たちはアドバイスへのアクセスをより容易にし、金融リテラシーを高め、家族や専門家との建設的な対話のきっかけづくりを支援することで、このギャップを埋めていくことが重要な役割だと考えています。保障、資産形成、年金、資産承継にわたるソリューションを通じて、日本の皆さまが「より長く生きる」だけでなく、「よりよく生きる」こと、将来に対する確かな安心とともに生きていけることを目指して支援してまいります。
また、本調査は、日本の人びとが将来に向けて貯蓄を続けている一方で、その資産が目減りするリスクにさらされており、保険、株式、投資信託を含む主要な資産カテゴリのすべてにおいてアジア平均を下回っていることも示しています。これは、総合的な金融面での備えが相対的に不十分であることを意味します。さらに、回答者の28%(アジア全市場で最も高く、アジア平均の2倍超)が、将来の経済的な安心に向けた具体的な行動を取っていないと答えており、認識と行動のギャップが、より取り組みやすい資産形成およびプランニングの道筋の必要性を浮き彫りにしています。
【マニュライフ・インベストメント・マネジメント株式会社 代表取締役社長 山本真一からのコメント】
今年のアジア・ケア・サーベイの結果は、日本において「人生100年時代」に備えるための金融面の準備を一層強化していく余地が大きいことを浮き彫りにしています。老後の資金面に不安を抱えながらも、その備えとして投資に踏み出せていない人も依然として多く、長寿リスクへの認識と実際の資産形成との間には大きなギャップが存在します。
投資への関心は高いものの、必要となる資産額の把握が十分でないことに加え、損失への不安や商品選択の難しさが行動を妨げています。加えて、日本経済がデフレからインフレへ転換したことで、老後に向けた準備は「貯めておく」静態的なものから、「運用して増やす」動態的なものへとシフトしており、より早期かつ体系的なアプローチが求められています。
こうした状況を踏まえると、投資アドバイスへのアクセスを容易にし、その内容を身近で分かりやすく、実行に移しやすいものにしていくことが不可欠です。たとえ小さな一歩であっても、人びとが実際に行動を起こせるよう後押しすることが、長期的な金融レジリエンスを高め、長い人生を通じた自立を支える金融基盤の構築につながります。
マニュライフ・インベストメント・マネジメントは、資産運用のプロフェッショナルとして、お客さまの中長期的な資産形成を力強く後押しし、ゆとりある豊かな時間をお過ごしいただくための金融基盤づくりに貢献してまいります。
日本では、成人の4人に3人が、老後に必要となる介護支援の費用負担に不安を抱いています。中でも、25歳未満の若年層は、将来の介護費用に対して最も強い懸念を示しています。
従来、日本やアジアでは、リタイアメント設計は「仕事を引退する」という一度きりの転換点として捉えられてきました。しかし現在では、リタイアメントは単なる転換点ではなく、経済的な現実や家族への責任、そしてより長く自立し続けたいという意志によって形づくられる、段階的なプロセスへと変化しています。
こうした変化を背景に、人生の後半において働き続けることは、リタイアメントプランの重要な一部となりつつあります。実際、65歳以降も何らかの形で働きたいと考える人は80%にのぼり、特に柔軟な形でのフルタイム勤務(58%)とパートタイム勤務(22%)が好まれています。
また、この傾向は特に若年層で顕著であり、58%が柔軟な形でのフルタイムの就業を継続したいと回答しています。
ただし、このような柔軟な働き方への志向は、多くの場合、実際の家計の状況によって左右されています。
日本では、現在24%の人が家族への経済的支援を行っています。(アジア平均は48%)日本では家族を支援している人は、平均で月収の37%を家族の責任に充てています。その結果、72%の人が、この負担が自らの自立を妨げていると感じており、長期的な自立に対する自信にも影響が出ています。
また、育児や介護の問題は若年層に大きな影響を及ぼしています。
25歳未満の若年層は48%が既に子どもや親の世話や介護の責任を負っています。週に14時間を費やしていて80%がこれにより自立が制限されていると回答しています。さらに43%が家族への経済的支援も行っており、93%が自立への影響を懸念しています。また、81%が自らの医療を後回しにしいます。さらにメンタルヘルスへの影響もすでに出ています。
収入の多くを他者の支援に費やしている状況では、貯蓄を維持し、継続的に投資を行い、老後や医療に備えるための余剰資金を築くことは難しくなります。早い段階での計画がなければ、現在の他者の支援が、将来の自立の代償になる可能性があります。
このことは、重要な現実を裏付けています。つまり、リタイアメントは、一つの時点ではなく「段階」として設計すべきものだという点です。
より長く働くことは、自立を支える有効な手段になり得ます。
しかしそれは、収入・支出・ケアニーズが、フルタイム就業から段階的リタイアメント、そして晩年のケアへとどのように変化していくかを見据えて準備されている場合に限ります。しっかりとした計画や投資戦略がなければ、望まない形で長く働かざるを得なくなったり、環境の変化に直面した際に拙速な意思決定を迫られたりするリスクがあります。
こうした中でも、前向きな変化の兆しは見え始めています。その出発点となるのが、対話と、より計画的な備えです。
日本の成人の44%は、家族と退職計画について率直に話し合うことが、ウェルビーイングにポジティブな影響をもたらすと考えており、さらにファイナンシャルプランナーと話し合っている人(78%)とそうでない人(38%)では40ポイントの差があります。話し合いをしていない人の30%は「どこから始めたらいいのかわからない」と回答しており、会話を促進するガイダンスや枠組み、信頼できる支援が必要とされています。
また、若年層ほど家族との対話に積極的な傾向が見られます。25歳未満の成人の75%が、家族とリタイアメントについて話し合うことが、より良い老後の備えにつながると回答しており、これは全体平均の44%を大きく上回っています。さらに、実際に家族と話し合っている人の割合も56%と、日本全体の平均(33%)を上回っており、若い世代の間で老後への備えに対する危機意識が高まっていることがうかがえます。
期待や役割、望む将来像が明確でないままでは、ファイナンシャルプランは往々にして不確かな前提に基づいて組み立てられがちです。
その結果、直前での意思決定や期待のズレ、投資戦略の揺らぎといったリスクが高まります。特に、健康やケアのニーズが生じた際には、その影響が顕在化しやすくなります。
早い段階からの対話にファイナンシャルプランナーなどの専門家のアドバイスを取り入れるなどして、こうした不確実性は「共有された実行可能な計画」へと転換することができます。
それにより、将来の回避可能な経済的ストレスを軽減することが可能になります。
1. リタイアメントは「時点」ではなく「段階」で設計する
2. サンドイッチ世代の場合(子どもと親の双方を支える世代)
家族への継続的な支出は、「余剰資金」ではなく、キャッシュフローの前提として組み込むことが重要。
長期投資は継続しつつ、緊急時に備えたバッファーを確保し、不利なタイミングで資産を取り崩さなくて済むようにする。
3. 単身で計画する場合
成長性と流動性のバランスを意識する。
長期ニーズに備えて資産を運用しながらも、必要なときに全体の計画を崩さず資金にアクセスできる設計を整える。
4. 沈黙を破る:家族との対話と専門家の活用
アジア・ケア・サーベイ2026について
アジア・ケア・サーベイ2026は、2026年2月から3月にかけて実施され、アジア9市場(中国本土、香港、台湾、日本、シンガポール、ベトナム、インドネシア、フィリピン、マレーシア)における18歳以上(60歳以上を含む)9,000人超を対象に調査を行いました。
アジア版の詳細データについては、以下をご参照ください
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